伝統工芸作家 櫻井久明

永代使用できる仏壇とは

本物の素材で200年の時に耐えるモノを作る

私の仏壇造りの哲学は、材料資源のことを考えると最低でも二百年の歳月に耐えられるものを作らなければならないということです。
そのためには、一切鉄釘は使わずほぞ組で造らなければ強度は維持できません。鉄は冷たいため夏場など水分を集めてしまい、長い年月にはサビて腐り、白蟻の出る原因になりかねない…。 「鉄金具偏重主義が木工文化を滅ぼす」、これが私の持論です。

木工品は本来、指物(差し物)と言ってほぞ組加工をして釘を使わずに作るのが本流です。ほぞ組はイモつけ、釘づけの数百倍の強度になり、永代使用に耐えることができます。 素材においては、霊樹である紫檀を使用しています。比重が1.2と水より重く、世界中の樹木の中で最も堅く枉いが少ないのが特長で、仏壇の材料としては最適であると確信します。

造形は、古典の仏具仏壇の制作法式を守り、できるだけ簡素にして時代を超えたデザインを考えています。しかし、細部においては鉋など三十以上の手道具を使い入念な作りを施し、見えない部分まで入魂の作りをしています。

その各部の微細な美が全体の品位と格調を高めます。
形が心をすすめ、先祖を敬い信仰心の力になれればよいと考えています。

紫檀 天河,紫檀 木瓜拭漆

仏の頭上にある荘厳具の天蓋(てんがい)。デザインは八葉の蓮華文と宝相華(ほうそうげ)で、透かし彫り穴の数は300を越す入念な作りです。

結びと宝相華と銭文(せんもん)のデザインです。宝相華は、扶桑華(ぶっそうげ)とも言い仏に対しての供養の意味が込められています。お金と結びは財産ができ、子孫が繁栄してほしいとの願いです。

須弥壇脇の上下は伏蓮華(ふしれんげ)を施し、中の格狭間は七宝つなぎの地彫文です。七宝とは仏の世界を荘厳する七つの宝です(金、銀、瑠璃、玻璃、しゃこ、瑪瑙、珊瑚)。

唐様式の須弥壇で勾欄は逆蓮柱(ぎゃくれんばしら)造り。束は海老束(えびつか)作りで、運勢の勢いを表した竜の彫りです。本式造りの須弥壇です。

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